アジアハイウェイ活性化の鍵は韓国?ーアジアハイウェイを模索する(4)
昨日のブログにて、アジアハイウェイ1号線の謎の日韓フェリー区間に関して、韓国が比較的「日韓トンネル」建設に積極的になっているという話を取り上げた。
韓国はもはや「準・島国」ではない?
ここで一番考える必要があるのは、
「なぜ日韓でここまで積極性、関心度に差がある(ように見える)のか」
さらに言えば
「なぜ韓国はここまで日韓トンネルの建設の是非に関する議論を行なっているのか」
という点である。
簡単に答えを見出すことはできないが、理由の一つとして考えられるのは、
韓国・釜山がアジアハイウェイ1号線(AH1)と6号線(AH6)で、「ユーラシア大陸の端点」として機能しているからであるのかもしれない。
現状として、韓国には北朝鮮という「壁」がある為、ユーラシア大陸に接続していること、さらに言えば超大国である中国のすぐそばにあるという事に係る便益を裨益することができていない。
しかしながら、昨年の南北首脳会談の実施のように、その関係性は比較的改善傾向にあり、すぐさま「南北統一」とは行かないまでも、政治的国境よりも先に経済的国境の統一が行われ、韓国から北朝鮮を通る道路整備事業等が活性化する可能性はある。
事実、昨日のブログで紹介した日韓台の大学交流事業でも、韓国の某トップレベル大学の学生が、
「北朝鮮との関係が改善されれば、尋常じゃない量のやらなければいけないことが北朝鮮にはあるから、韓国の経済活性化にも繋がる」
という話をしていたので、まあそういう方向性が十分に検討されているのだろう。
動画から読み解く韓国のアジアハイウェイ
ここで、アジアハイウェイについて適当にYouTubeで探していた時に見つけた、二つの動画を紹介したい。
サムネイルからして一目瞭然であるように、どちらも内容は同じで韓国版か英語版かの違いのみである。
YouTubeの概要欄によれば、
Copyright © 2017 한국도로공사 Korea Expressway Corporation.
All rights reserved
とのことなので、韓国道路公社(Korea Expressway Corporation、KEC)がUNESCAPなどとの協力の元、作成したようである。
YouTubeを探しても、最近出された動画でここまでアジアハイウェイのみを取り上げる動画はそう無い。
ちなみに、基本的な内容はアジアハイウェイの素晴らしさを、特に韓国国民に伝えることを第一の目的としているようで、釜山を始点とするAH1とAH6をメインに扱っている。
また、特にアジアハイウェイ事業における南北合意がなされていることを強調している点も、上の適当な考察と一致する気がする。
しかしながら、上の動画には細かいながら一点、気になる点がある。
それは、
AH1における東京ー釜山区間、すなわち「日韓トンネル」建設が考えられている区間の取り扱われ方
である。
実を言うと、上の二つの動画では、下のような二種類の地図が用いられている。
思うに、わざわざこのような違いのある地図を設計した理由は、
- アジアハイウェイの端点としての総合的な便益
- アジアハイウェイの中継点としての総合的な便益
のどちらが大きいのかが不明確であるから、である気がする。
自分は物流に関しては全くもって素人であるので1、2の定量的な判断については何も言うことができない。
が、結局のところ、
「韓国政府としても、北朝鮮との友好関係の構築でユーラシア大陸との接続を果たすことによる効果は非常に大きいが、アジアハイウェイにおける日韓区間の効果に関してはまだ未知数」
といったところなのだろう。
さて、「アジアハイウェイを模索する」シリーズを明日からどうするか。
迷い中である。