はざまを彷徨う

世の中の境界とそのワクワク感についての個人的雑感

中国人の多さと夕陽の美しさが凌駕するマンダレーヒルーミャンマー・インドの旅(5)

 

昨日のヤンゴンの貧困地区・ダラはiPhone6消失前の出来事であったのに対して、今日のマンダレーに関するまとめは消失後の出来事である。

 

borderpass.hatenablog.com

 

マンダレーヤンゴン同様そこまで目星い目的意識を持っていた訳ではなく、あくまで国境へ向かう際の中継地点としての意識がかなり強かったのだが、消失事件とそれに関する各種処理手続き(特に警察への届出)等の影響で結局二泊することとなった。

マンダレーは、街の中心に一辺3kmほどの大きさを有する王宮や、そこから北東の位置に存在する小高い丘のマンダレーヒルとその周辺の各種パゴダや僧院が観光名物である。しかしあくまで個人的な話ではあるが、マンダレーヒル以外はこれらはミャンマーでは普遍的なものに感じてしまっていた(と言っても古都マンダレーにあるものはその中でも中心的な役割を果たしている訳だが)し、かと言ってマンダレーヒルを登る気力もそこまで無かった。それゆえ、行くとしたら郊外にある夕日の絶景スポットとして有名なウー・ベイン橋や、土台だけ出来たまま未完に終わったミングォン・パヤーかなと日本を発つ前は何となく考えていた。

 

https://media-cdn.tripadvisor.com/media/photo-s/03/76/ef/db/mandalay.jpg

こういうのとか、

https://media-cdn.tripadvisor.com/media/photo-s/02/6c/9f/b7/filename-mandalay-bagan.jpg

こういうのを淡く期待していた。

 

それが、例の事件発生によって、そんな事は意識の外に行ってしまった。マンダレーの総滞在時間の約6割は意気消沈していた気がするし、当然郊外へ行く気力も完全に失せてしまった。しかし、警察での事情聴取と書類作成を経た辺りからだろうか、ある程度気分が落ち着いてくると、マンダレーで観光らしい観光を何もせずに出発してしまうことで、それもそれで後悔のようなものが後々生まれてきてしまうような、そんな気持ちがふつふつと湧いてきた。

そこでかなり衝動的な感情に身を委ね、マンダレーヒル(と王宮の外濠)だけ宿から歩いて行ってみる事にした。今日はその記録である。

  


 

宿

マンダレーヒルまでの道のりを説明する前に、今回のiPhone消失に際してかなりの面で支えてくれた宿について紹介したい。

泊まったのは、Ace Star Backpacker BnB である。 

場所はマンダレー中央駅から簡単に歩いていける距離に位置する。ここは何と言ってもスタッフがかなり親切かつフレンドリーだった。自分の記憶を辿ってもここまでだったのはウズベキスタンSakura Hostel くらいだが、Sakura Hostelの場合はスタッフの愛想の良さの幅が恐ろしく広い一方、Ace Starはスタッフ全般が笑顔で接してくれた。今となってはあの時のスタッフが優しく接してくれた事が自分の傷心が治るスピードを早めてくれたのかもしれないとも思う。

それ以外の点に関しても、WIFiは申し分なく、朝食はそれなりに美味しいし、清掃もだいぶ行き届いているのでかなり快適に過ごす事が出来た。マンダレーリベンジの際には間違いなくこの宿をもう一度選ぶだろう。オススメである。

 

マンダレーヒルまでの道のり

Ace Starからマンダレーヒルの頂上にあるスタウンピー・パゴダまで今回歩いた道のりは以下のような感じである。Ace Starとマンダレー中央駅はせいぜい200mほどしか離れていないので、駅から歩いて行く際もほぼ同じである。基本的に王宮の外濠沿いを行けば丘のふもとまでは辿り着けるのでそこまで難しくはない。

ただ、今になってGoogle Mapで距離を調べたところ、下の王宮の右外濠を歩くルートより左外濠を歩くルートの方が短いらしく、しかもいずれのルートを取ったとしても片道7km超あるようだ。あの時は精神状態がやや不安定だったのが功を奏したのか、距離などあまり考えずに突発的に行って帰ってきてしまった。

が、普通にマメが出来たので、往復15kmほど(しかも山登りを含む)歩くよりかは、せめて麓付近まではバイタク等を雇うのが賢明だろう。

 

f:id:borderpass:20190327095412p:plain

ルートの概略図

それでも歩いていきたいという人向けにルートの説明を写真を中心にまとめていく。

 

まず、王宮周辺は無限に外濠を歩いていけば良いわけだが、風景が変わらなすぎて麓手前の最後の2kmくらいは結構苦痛だったりする。それゆえ、道に迷う心配がないようなGPS環境下であれば、外濠ではなくダウンタウンを歩きながら行った方が楽しめるのではないかと思う。

f:id:borderpass:20190327101005j:plain

外濠の一部には健康器具がある。外濠に限らずマンダレーには唐突もなくこんなのが沢山出没する。

f:id:borderpass:20190327101123j:plain

外濠から見たマンダレーヒル。景色は申し分ない。

麓から頂上へと向かう階段の目印となるのは二体の白獅子である。ミャンマーの他の寺院と同じくここで靴を脱いで頂上へと向かう。

なお、日暮れを見たいが為に急いで登ったが、それなりにきつかった(単純に4km弱歩いた後だったからかもしれないが)ので、麓から頂上までタクシーやバイタクを雇うことも時と場合に応じて検討されるべきであろう。

f:id:borderpass:20190327101654j:plain

この獅子が入り口の目印

f:id:borderpass:20190327101659j:plain

近くの僧院に通う修行僧が駆け上っていく

階段を登っていくと、ところどころに黄金の立像がある。地球の歩き方に依ればそれぞれに意味があるらしいが、生憎日没までの時間がなかったので先を急いだ。

 

f:id:borderpass:20190327102840j:plain

黄金の立像

だいたい登り始めて1時間弱と言ったところで頂上に到着する。頂上入場料の形で1000kyatほど徴収される。

幸いにも夕日はまだ沈んでおらず、良い感じの風景を拝めることは出来そうだと安心したのだが、それよりも驚いたのが中国人観光客の多さである。

 

borderpass.hatenablog.com

 

ヤンゴンでの上の記事にもまとめたように、ちょうど自分が行っていた時期は中国の春節と被っており、バンコクなどでは地獄のような中国人で溢れかえっていたのだが、ミャンマーではそこまで中国人の多さを意識することはない、という印象が前回来た際から持っていた。しかし、ここは違った。完全に中国人の巣窟であった。

 

f:id:borderpass:20190327103915j:plain

エフェクトがかかっているがそれなりに見る価値があると感じた頂上のスタウンピー・パゴダ

f:id:borderpass:20190327103927j:plain

スタウンピー・パゴダの四方にはいかにもミャンマーらしい坐像が

頂上について30分ほど経ってからだろうか、ようやく夕陽が赤みがかり、その灯で寺院もオレンジ色に染まり始める。中国人が一斉に夕陽を写真に収めようと西側に群がり始めるのだが、その間を何とか掻い潜って写真を数枚収めることが出来た。

 

しかし、それにしても残念なのは西側にゴルフ場があることだ。ミャンマーはなぜか知らないが景観よりもゴルフ場を好む。バガンも規模も価値も優に世界遺産と言えるべきものなのに依然登録されないままである原因の一つがゴルフ場だったと記憶している。

 

f:id:borderpass:20190327104700j:plain

写真のすぐ下に拡がるゴルフ場を避けるように撮った一枚。

生憎この日は雲が多く、沈みゆく太陽を拝むことが出来る時間はかなり限られていた。中国人は早々にチャーターしたタクシーで帰っていったので、雲の隙間から最後少しでも夕陽が姿を現してくれる可能性を信じてだいぶ暗くなるまで待ったのだが、結局現れず。しかしそれでも、かなり綺麗な景色は自分のiPhone傷心を何となく癒してくれた気がする。

 

帰り道は僧院の修行僧が話しかけてきたので彼らと一緒に階段を降った。やたら若い修行僧が多いので毎日登っているのかと勝手に思っていたのだが、どうやら学期始めに登っているだけらしい。

 

f:id:borderpass:20190327105522j:plain

折角なので一枚だけ写真を撮らせてもらった

 


 

傷心もこのマンダレーヒルまでの無駄に疲れる道のりを歩いているうちにどこかへ消え去ってしまいました。そう言った意味ではかなりのリフレッシュにもなったのかもしれません。(その代わりにこの数日後まで痛みに悩まされるマメが出来ましたが、、、)

 

明日はマンダレーを発ち、国境へ向けての前線拠点と言うべきカレーミョまでの道のりについてまとめていきたいと思います。

尚、国境を通過するルートに関しては、旅の途中で複数の方から要望があったので、既に英語でまとめてあります。明日以降、日本語でより詳細に書いていく予定ですが、もしお急ぎで情報が欲しいという方がいらっしゃいましたら下の記事を参考ください。

 

borderpass.hatenablog.com